ナレータ (すこし、口調をかえて)
 やがて、如乗は、大人になると、
井波の瑞泉寺という大きなお寺の住職になりました。
ナレータ  そして、布袋丸のお父さんがなくなると、親戚中の反対をおしきって、
布袋丸を、本願寺の八代目の住職につけてくれたのです。
ナレータ  如乗のおかげで、本願寺の住職となった布袋丸は、
《れんにょ》というえらいおぼうさんになって、
本願寺を日本一の立派なお寺に発展させました。

(すこし、間をおいて)
ナレータ  蓮如上人を慕って、お参りの人でにぎわう本願寺に、
いまでは、むかしの苦労をしる人は、だれもいなくなりました。
 おなかいっぱい食べられるのも、さむさを気にしなくてもよくなったのも、
すっかりあたりまえのことになって、誰もありがたいことだとは思わなくなったのです。
 みんな、いつのまにか、すっかり大切な心を失ってしまったのでした。

(ぬく)


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